ルカによる福音書七章一〜十節。〈信仰に報いる主〉。
東日本大震災
二千十一年三月十一日(金)から
二ヵ月十八日です。
二千十一年五月二十九日(日)
復活節第六主日
詩編三十四編二〜十一節
2どのようなときも、わたしは主をたたえ
_わたしの口は絶えることなく賛美を歌う。
3わたしの魂は主を賛美する。
_貧しい人よ、それを聞いて喜び祝え
4わたしと共に主をたたえよ。
_ひとつになって御名をあがめよう。
5わたしは主に求め
_主は答えてくださった。
_脅かすものから常に救い出してくださった。
6主を仰ぎ見る人は光と輝き
_辱めに顔を伏せることはない。
7この貧しい人が呼び求める声を主は聞き
_苦難から常に救ってくださった。
8主の使いはその周りに陣を敷き
_主を畏れる人を守り助けてくださった。
9味わい、見よ、主の恵み深さを。
_いかに幸いなことか、御もとに身を寄せる人は。
10主の聖なる人々よ、主を畏れ敬え。
_主を畏れる人には何も欠けることがない。
11若獅子は獲物がなくても飢えても
_主に求める人には良いものの欠けることがない。
ルカによる福音書七章一〜十節
_1イエスは、民衆にこれらの言葉をすべて話し終えてから、カファルナウムに入られた。2ところで、ある百人隊長に重んじられている部下が、病気で死にかかっていた。3イエスのことを聞いた百人隊長は、ユダヤ人の長老たちを使いにやって、部下を助けに来てくださるように頼んだ。4長老たちはイエスのもとに来て、熱心に願った。「あの方は、そうしていただくのにふさわしい人です。5わたしたちユダヤ人を愛して、自ら会堂を建ててくれたのです。」6そこで、イエスは一緒に出かけられた。ところが、その家からほど遠からぬところまで来たとき、百人隊長は友達を使いにやって言わせた。「主よ、御足労には及びません。わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。7ですから、わたしの方からお伺いするのさえふさわしくないと思いました。ひと言おっしゃってください。そして、わたしの僕をいやしてください。8わたしも権威の下に置かれている者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」9イエスはこれを聞いて感心し、従っていた群衆の方を振り向いて言われた。「言っておくが、イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。」10使いに行った人たちが家に帰ってみると、その部下は元気になっていた。
〈信仰に報いる主〉
_今日の聖句に登場する百人隊長はイエス様からその信仰を絶賛されています。この百人隊長のような信仰を理想として目指すべきだと思われます。
_百人隊長の信仰の素晴らしさを三つの要点で挙げてみます。一つ目はイエス様の権威を絶対的だとする信仰です。彼はイエス様がわざわざ病人の側に来なくてもひとこと言ってくださるだけでよいと言います。死にそうな人をいやすのであれば全力でいやしてほしいと思うはずです。イエス様がお持ちの権威の大きさの前にひと言で足りるとの信仰は立派です。
_二つ目はへりくだる信仰です。百人隊長は自分がユダヤ人からみると異邦人(外国人)であることを受け入れユダヤ人を傷つけないよう注意深く行動しています。イエス様に伝言するのに二人の人を送ってます。これは自分が行くのが面倒なのではなく、異邦人である自分がユダヤ人であるイエス様に直接話しかけることを遠慮するためです。当時、ユダヤ人は異邦人との交流を信仰的な理由で避けていました。そのことを理解していた彼はこのことを素直に受け入れています。
_三つ目は部下に対する愛情です。百人隊長の行動は死に瀕している部下のためです。部下を大切に思う気持ちすなわち隣人愛が表れています。
_百人隊長の信仰素晴らしさはイエス様のお弟子さんたちの信仰と対照的です。ルカによる福音書にもそのことがわかる箇所があります。
_八章二十二節以下に湖で船に乗っているとき嵐におびえ取り乱すお弟子さんたちの姿があります。イエス様は「あなたがたの信仰はどこにあるのか」と仰り嵐を静められます。
_九章四十六節以下と二十二章二十四節以下には誰が一番偉いのかを議論するお弟子さんたちの姿があります。イエス様は「あなたがた皆の中で最も小さい者こそ、最も偉いの者である」と仰ります。
_九章十節以下には、夕暮れになっても帰って行かない群衆を解散させるようにお弟子さんがイエス様に勧めておられます。イエス様はお弟子さんたちに「あなたが彼らに食べ物を与えなさい」と仰ります。お弟子さんたちはそんなことは出来ないと答えられます。お弟子さんたちはひもじい思いをする群衆に関心を向けようとはしません。イエス様はすべての人に食事を与えられます。
_百人隊長の信仰の立派さはお弟子さんたちの信仰が立派ではないことを思い起こさせます。
_カファルナウムの百人隊長はイエス様にとり縁遠い存在と言えます。近い存在のお弟子さんは立派な信仰ではありません。イエス様は側にいる必要がある者をご存じで選んでくださいます。わたしたちは立派でないからこそ選ばれました。立派でないからこそ用いてくださいます。
聖書 新共同訳: (c)共同訳聖書実行委員会
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Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988
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