降誕前第7主日〈神民の選び(アブラハム)〉

C3

2012年11月18日 20:44

東日本大震災発生
2011年3月11日(金)午後2時46分から
1年8か月7日です。

2012年11月11日(
降誕前第7主日 障害者週間

創世記13章1~18節
131アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。ロトも一緒であった。2アブラムは非常に多くの家畜や金銀を持っていた。3ネゲブ地方から更に、ベテルに向かって旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。4そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。
_5アブラムと共に旅をしていたロトもまた、羊や牛の群れを飼い、たくさんの天幕を持っていた。6その土地は、彼らが一緒に住むには十分ではなかった。彼らの財産が多すぎたから、一緒に住むことができなかったのである。7アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼う者たちとの間に争いが起きた。そのころ、その地方にはカナン人もペリジ人も住んでいた。
_8アブラムはロトに言った。
_「わたしたちは親類どうしだ。わたしとあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。9あなたの前には幾らでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。あなたが右に行くなら、わたしは左へ行こう。」
_10ロトが目を上げて眺めると、ヨルダン川流域の低地一帯は、主がソドムとゴモラを滅ぼす前であったので、ツォアルに至るまで、主の園のように、エジプトの国のように、見渡すかぎりよく潤っていた。11ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。こうして彼らは、左右に別れた。12アブラムはカナン地方に住み、ロトは低地の町々に住んだが、彼はソドムまで天幕を移した。13ソドムの住民は邪悪で、主に対して多くの罪を犯していた。
_14主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。
_「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。15見える限りの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。16あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。17さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」
_18アブラムは天幕を移し、ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。

〈神の民の選び(アブラハム)〉
 アブラハムは仕えることの天才でした。神さまと約束を交わしたときも何の見通しもないまま旅立っていきます。今回の物語では甥であるロトの意志を尊重して先に行き先を選ばせています。自分は残りを選択しています。とても奥ゆかしい行動だと言えます。

 しかし見方によっては年長者として意見を何も言わずにいるのは消極的だとも言えます。実際にロトは後にこの選択の結果、とんでもない艱難に襲われます。また仕えることの天才ですが相手に約束を守ってもらうことに関してはやはり消極的です。旅にでるという自分が負っていることには従順ですが、数えきれないほどの子孫を与えるという神さまが負っておられる約束については、ただただ待っているだけです。そして妻であるサラとの間には歳をとってしまったのでもうこどもが与えられないと考え、サラの提案で彼女に仕える側女ハガルと関係を持つことで息子イシュマエルを与えられます。そしてこれで神さまは約束を守ってくださっていると納得します。

 しかしイシュマエルの誕生はサラとハガルの関係を悪化させてしまいます。

 息子を生贄にと神さまに命じられたときも、子孫を与えるという約束がどうなるかなんて考えずに言われたまま行動します。これはとても信仰深いことだと言われますが、捉えようによってはあまりにも自分の思いを押し殺し過ぎだとも言えないでしょうか。

 アブラハムという人は約束を交わしたときに自分が守るべき事柄には忠実であるが、相手が守るべき事柄には無頓着であるとも言えます。また相手を尊重することには行き届きすぎるくらいであるのに自己を主張することはあまりにというか全くないとも言えます。

 温厚で平和を望み絶えず相手のことを考えることは悪いことではありませんが、自らの思いを相手に伝えることをほとんどしないというのは人としてどうでしょうか。

 アブラハムの信仰が立派であったということは事実であります。しかし人として欠けるところがないとは言えません。でも神さまはだからこそアブラハムをお選びになったのだと思うのです。アブラハムがアブラハムらしく歩むことが神さまの望みであられたのです。息子の犠牲のときも信仰をほめられるわけであって、なぜ自分の思いを打ち分けないと責めることはなさいません。

 後に彼の子孫は兄の長子の権利を横取りするような者が家督を継ぎます。アブラハムとは正反対の性格と言えます。彼も神さまは祝福されます。

 わたしたちも特徴を持った人格を持っています。時に人を励ますこともあれば傷つけてしまうこともあります。神さまはその両方を受け止めて私たちを祝福してくださいます。神さまが選んで下さったのは私たちが優れているからではありません。私たちが私たちであるからです。

聖書 新共同訳: (c)共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988

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